社会福祉士の勉強をしていると、必ずといっていい
ほど出てくる「ラポール形成」をいう言葉。
相談援助では、利用者との信頼関係が大切だと学び
ます。
でも、実際に現場へ出たとき、
「ラポール形成って、具体的に何をすればいい?」
と思ったことはありませんか。
傾聴する。共感する。相手の気持ちを受け止める。
もちろん、どれも大切な相談援助技術です。
でも、20年以上福祉の現場で働いてきた私は、
ラポール形成は面接の場面だけで行うものではない
と感じています。
日々の何気ない関わりや、小さな約束を守ること。
そして、相手にとって都合の良いことばかりではな
く、伝えにくいことも誠実に伝えること。
今回は、施設相談員としての経験から、相談援助に
おけるラポール形成の実践について考えます。
ラポール形成とは?相談援助における意味

ラポールとは、支援者と利用者の間に築かれる、
信頼や安心感を伴う関係のことです。
社会福祉士にとって、ラポール形成は相談援助を
進めるうえで大切な土台になります。
利用者が自分の思いや困りごとを話せること。
支援者の説明を聞き、一緒に今後の生活について
考えられること。
そのためには、安心して相談できる関係が必要です。
ただし、ラポール形成は、利用者に好かれることや
すべての希望を叶えることではありません。
私は、相手が困ったときに「この人なら話しても大
丈夫」と思える関係を、少しずつ築いていくことだ
と考えています。
ラポール形成は日々の関わりから始まる
信頼関係は、一度の面接で完成するものではありま
せん。
例えば、利用者から相談を受けたとき、
「確認して、またお伝えしますね」
そう答えたなら、確認した結果を伝える。
すぐに答えが出ない場合も、現在どこまで確認でき
ているのか説明する。
こうした小さな関わりの積み重ねが大切だと思って
います。
支援者にとっては、日常業務の一つかもしれません。
でも、利用者にとっては、自分の話をきちんと受け
止めてもらえたかどうかを感じる場面でもあります。
私は、ラポール形成に特別な言葉や技術ばかりが
必要だとが思っていません。
言ったことを実行する。できないことは曖昧にしな
い。
そんな当たり前に見える対応こそ、信頼関係の土台
になると考えています。
正直に伝えることもラポール形成につながる
施設相談員として働いていると、利用者や家族の
希望に、そのまま応えられない場面があります。
そのとき、相手をがっかりさせたくないという気
もちから、曖昧な説明をしたくなることもあるかも
しれません。
でも私は、できないことを「できるかもしれません」
と安易に伝えることには慎重です。
以前、入浴を希望しない利用者への対応について
相談を受けたことがありました。
こうした場面では、本人の思いを確認することと
同時に、施設として何ができるのか、できないのか
を正直に伝えることが大切だと考えています。
もちろん、正直に伝えることと、一方的に説明す
ることは違います。
まずは、なぜ本人がそう思っているのかを聞く。
そのうえで、必要な情報を分かりやすく伝え、
一緒に方法を考える。
相手の希望に沿えない時でも、誠実につながると
考えています。
ラポール形成で大切にしている3つのこと
1. 相手の話を途中で決めつけない
相談を受けたとき、支援者がすぐに答えを出そうと
すると、相手の本当の困りごとを見落とすことがあ
ります。
まずは、何に困っているのか、何を心配しているの
かを聞く。
表面的な言葉だけで判断せず、その背景を理解しよ
うとする姿勢が必要です。
2. 小さな約束を守る
「あとで確認します」
「分かったら連絡します」
こうした言葉を伝えたなら、結果を返す。
約束したことが難しくなった場合も、その状況を
説明する。
小さな約束を守ることは、相談援助の中で実践でき
るラポール形成の一つです。
3. できないことも誠実に伝える
信頼関係を築こうとして、相手の希望に何でも応え
ようとする必要はありません。
できることと、できないことを整理する。
その理由を説明する。
必要であれば、別の方法を一緒に考える。
相手の希望を尊重しながらも、専門職として
対応することが大切だと思います。
関連記事
利用者の希望を尊重することと、希望どおりに対応
することは、必ずしも同じではありません。
特養での個別対応について、身体状況が変わった
利用者への支援を通して考えた記事もあります。
まとめ|ラポール形成は相談援助の土台
社会福祉士の勉強では、ラポール形成の重要性を
学びます。
でも、現場で具体的に何をするのかは、教科書の
言葉だけでは分かりにくいこともあります。
私は、ラポール形成とは、特別な面接技術だけで
築くものではないと考えています。
相手の話を丁寧に
小さな約束を守ること。
そして、都合の悪いことも誠実に伝えること。
こうした日々の関わりが、利用者との信頼関係を
支えています。
ラポール形成は、利用者に好かれるためではなく、
安心して相談できる関係をつくるためのもの。
これからも、一つひとつの関わりを大切にしていき
たいと思います。
Rapport building is an essential foundation of
effective social work practice.


コメント