利用者の希望は、どこまで叶えるべき?|特養で考えた個別対応と公平性

特養の個別対応について、車椅子の利用者に職員が寄り添いながら話をしている画像

特養での個別対応を考えるとき、利用者一人ひとりの希望を尊重することは、とても大切です。

私も、その考え方を大切にしてきました。

でも、特養で働いていると、考えさせられる場面が
あります。

「本人が希望しているのだから、できるだけ応えた
い」

そう思う一方で、ほかの利用者への支援や職員への
対応も考えなければなりません。

以前は本人の希望に合わせて対応できていたことが、
身体状況の変化によって難しくなることがあります。

そんなとき、希望どおりに対応できなくなることは、
本人を大切にしていないということなのでしょうか。

今回は、入院をきっかけに身体状況が変わった利用者
への対応を通して、特養における個別対応について
考えてみたいと思います。

目次
特養の個別対応で、車椅子の利用者に職員が目線を合わせて優しく声をかけている様子

ある利用者さんは、以前は車椅子を自分で操作し、
必要なときには職員のところまで来ることができて
いました。

そのため、歯磨きや就寝前の薬についても、本人の
希望する時間に合わせて対応していました。

ところが、入院をきっかけに身体状況が大きく変わ
理、日常生活の多くの場面で解除が必要になりまし
た。

以前は自分でできていたことも、今は職員の介助が

例えば、就寝薬。

以前は、本人が希望する時間に対応できていました。

「そろそろ眠るので、就寝薬をください」

と職員のところへ自分で来られるため、時間もかか
らず、対応していました。

しかし、入院をきっかけに、車椅子への移乗も操作も介護が必要になった今は、職員が部屋まで薬を持っていく必要があります。

そのため、職員が他の利用者の介助をしている時間帯
と重なると、本人の希望する時間に対応できないこと
があります。

一人の希望に合わせ、その都度対応することが難し
くなりました。

そこで、本人と家族へ理由を説明し、歯磨きや就寝薬の薬について、施設の決められた時間を基本とする
対応に見直しました。

ただし、決められた時間に統一することが、すべて
の利用者にとって適切とは限りません。

本人の生活習慣や身体状況、薬の服用時間について
の医療嬢の指示なども踏まえ、必要な個別対応は
考えていく必要があります。

対応を変更する理由については、本人にも説明しま
した。

本人は説明を理解し、納得してくれました。

でも、それまでの生活習慣が急に変わるわけではあ
りません。

長年、自分の希望する時間に歯磨きをしたり、
就寝前の薬を飲んだりしてきたのです。

本人は、今までどおりに希望を伝えているだけ。

変わったのは、本人の希望ではなく、身体状況です。

以前は自分でできていたことが、今は職員の介助を
必要とするようになった。

だから私は、本人が以前と同じように希望を伝える
ことを、問題だとは思っていません。

そんな場面で、職員が口にすることがあります。

「前に、説明しましたよね?」

あるあるですね。

確かに、説明はしました。

でも、説明したからといって、長年の生活習慣や
希望がなくなるわけではありません。

私は、この言葉で本人の訴えを終わらせようとする
ことには、あまり意味はないと思っています。

大切なのは、その時の職員の受け答えです。

「これが終わったら行きますね」

「順番に対応しますので、少し待ってください。」

本人の希望通りの時間には行けないかもしれません
が、すぐ行けない理由はわかるかもしれません。

もちろん、訴えの内容によっては、すぐに対応する
必要があります。

でも、待っていただける場面では、今できること
を具体的に伝える。

本人の希望を変えようとするのではなく、今の身体
状況に合わせて、支援の方法を変えていく。

本人の訴えを問題にするのではなく、職員の受け
応えを工夫する。

私は、そこに支援する側としての大切な役割がある
と思っています。

利用者の希望を尊重することは、すべての希望に
その場で答えることではないと思っています。

特養は、多くの利用者が共同生活を送る場所です。

一人ひとりの希望を大切にしながら、ほかの利用者
への支援も行わなければなりません。

今回の利用者さんも、希望する時間に対応してほし
いという気持ちは、以前と変わっていません。

変わったのは、身体状況と、必要な介助の量です。

だからこそ、今の状態に合わせて支援の方法を見直
す必要がありました。

「今はできません」で終わらせるのではなく、

「これが終わったら行きますね」と次の対応を
具体的に伝える。

本人の思いを受け止めながら、できることを考えて
いく。

それも、利用者の希望を尊重する一つの方法だと
思います。

関連記事
利用者の希望を受け止め、今できる対応を丁寧に伝えることは、信頼関係を築くうえでも大切です。

施設相談員として実践しているラポール形成につい
て、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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相談援助におけるラポール形成|施設相談員が実践
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今回の経験を通して、改めて感じたことがあります。

利用者は、今までの生活習慣に沿って希望を伝えて
いるだけです。

それを「何度も説明しても同じことを言う」と問題
にするのではなく、職員がどう受け答えするかを
考える。

身体状況が変われば、支援の方法も変わります。

でも、本人の希望や、その人らしい生活を大切にす
る姿勢まで変える必要はありません。

利用者を変えようとするのではなく、私たちの支援
の方法を考え続けること。

それが、特養で個別支援を行ううえで大切なことだ
と思っています。

Respecting resident’s wishes is essential, but it
does not always mean meeting every request immediately.

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この記事を書いた人

フラを通して、心と体を整えることをテーマに発信しています。
忙しさや悩みの中で自分を追い込み、体調を崩した経験から、無理をしないこと、自分に優しく生きる大切さを学んできました。フラを「心を整えてくれる場所」として大切にしながら、日常の気づきや実体験を綴っています。

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